爪水虫を治すのは、とても大変です。
その一例をご紹介しましょう。
「16」さんは、29年7月から皮膚科で爪水虫の治療を行なっています。
処方された薬剤は、クレナフィンであろうと思われます。
処理前の爪の写真を下に示します。
爪全体が水虫になっており、このような重度の爪は治らない、とされています。
しかし、皮膚科医としては薬を出さざるを得なかったのでしょうね。
3ヶ月後には、爪は根元から伸びており、爪根元左側にあった黒い凝固物が爪先まで移動しています。
かなりの効果がありました(次の写真)。
それでは、この爪は治るのでしょうか?
答えは、全くの「NO」ですね。
爪を治すためには、爪根元の皮膚の下にある爪製造組織に寄生しているカビを殺すことが必須の条件です。
爪根元にいる菌を殺して爪製造組織を回復させ、新しい爪を作る能力を再生させること、これこそが必要なのです。
これを達成できると、爪根元から新しい、健康な爪が伸びてきます。
そして、この健康な爪が爪先まで伸びきると、爪水虫完治となるのです。
この方の場合には、爪は伸びましたが、爪根元が水虫のままであり、爪根元の菌が死んでいないのです。
そして、処理1年後の写真を次に示します。
残念ながら、爪は全く治っていない状態ですね。
この薬剤は、このような重度爪水虫を治すだけの効力を持ってはいないのです。
爪水虫の内服薬療法を行った場合の治癒率は、38%であるとされています。
この例のような重度爪水虫を治すためには、1年以上にも及ぶ薬剤処理を行うことが必要です。
足の爪が生え変わる速度は遅く、これだけの期間がもともと必要なのです。
この長期間の努力を行える人は少ないのも実情であり、爪水虫が治らない原因の一つになっています。