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水虫は季節とともに(2)

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水虫は、皮膚の下でひっそりと暮らしています。
これは、人の自己防衛力(免疫)による抑制効果もあるのですが、とにかく通常はおとなしいのです。
それが、年に1回程度は増殖して勢力を拡大しようとします。
水虫菌も生きていますので、繁殖するわけですね。
この繁殖の時期は、普通は春から夏にかけての高温多湿な時期になるわけです。
ところが今は冷暖房のある生活になっていますので、この水虫菌の繁殖が各個人の生き方と連動し、寒い時期になると表面化してくる水虫もあるわけです。
 
私は、寒くなるとやぐら炬燵を使いますので、そうすると下半身が暖められて皮膚温が上昇し、
脚部や下腹部などに潜んでいた水虫が活発に活動するようになります。
このように、人の皮膚に寄生している水虫菌は、その人の生活リズムに合わせて生きているわけです。
次の写真は、下腹部に表面化してきた水虫(発赤状のもの)です。
写真中央部に大きな発赤があり、写真右端上方にも小さな初赤が数個見えます。
 
イメージ 1
 
これらの水虫は毛穴に入っている水虫で、暖房で皮膚温が高くなっているために急激に増殖して激しい炎症状態になっています。
毛穴に入っている水虫は毛根にまで達している場合もあり、治りにくいとされています。
当道場処理液は皮膚への浸透性がよく、毛穴に入った水虫も簡単に治します。
それでも、この写真のように皮膚症状が表面化した状態でないと水虫菌を殺せないのです。
これらの水虫がじっと潜んでいる間は、いくら処理液を塗ってもまったく効きません。
 
この例のように、水虫の皮膚症状は季節とともに勝手に表面化してきますので、人の側としては表面化した時に集中的に処理して水虫を根絶させるしかありません。
水虫菌は皮膚や爪を侵食して生きていますので、病歴が長くなるほど皮膚組織の損傷が大きくなっていきます。
その巨大な組織損傷部位に広く水虫菌が散らばっていて、しかもそれらの水虫菌たちがいつ表面化してくるのかわからないのですから、私たちはずっと処理を続けて水虫菌を少しずつ消滅させていくしかないのです。
こう考えてみると、水虫が治りにくいのは当たり前ですね。
水虫患者は、気長に、根気よく処理を続けるしか方法がないようです。

最後の壁(14)

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水虫を治すのは、とても大変なことです。
水虫菌は皮膚や爪の組織を蚕食して、これらの組織を半殺しの状態に保ち、その破壊された組織の中で悠然と生き続けています。
さらに厄介なことに、水虫菌とカンジダ菌とが混合感染している場合があります。
このような混合感染が起きている患部では、水虫菌はとても頑強になり、薬剤治療に抵抗します。
つまり、薬剤処理しても治らない、という状況になります。
 
次の写真は、左ひざ頭横にできている広大な水虫ーカンジダ症混合感染部位です。
 
イメージ 1
 
皮膚が茶色に着色した、広大な面積を占めている部分が患部なのです。
ここに至るまでにも、覚えていないほどの長期間の処理を続けています。
そのため、この茶色の着色は、水虫が消滅した後の色素沈着物ではないか、と考えていました。
つまり、水虫ーカンジダ症はすでに治っている、と思っていたのです。
 
それでも、他の部位の処理をする際に、このひざ周辺も処理は続けました。
すると、この部位の表皮が白変してはがれてきました(次の写真)。
つまり、病変はまだ治っていなかったのです。
写真でもおわかりのように、この患部はまだ広大なままです。
 
イメージ 2
 
そのまま処理を続けるしか、ありません。
このあとも、水虫(毛穴)およびカンジダ症と考えられる皮膚病変が繰り返し表面化してきました。
この間、当道場処理液とダマリンL液(カンジダ治療剤)とを併用しながら処理しました。
そしてようやく、色素沈着物が残ったやわらかい皮膚へと変化してきました(次の写真)。
 
イメージ 3
 
これだけの巨大な色素沈着物が残っている部位は、他にはありません。
いつ果てるとも知れなかった闘いが、ようやく終わったようです。
これは左ひざなのですが、右側でも程度は軽いものの同じような症状がありました(次の写真)。
 
イメージ 4
 
手指に爪水虫がある場合には、ひざ頭周辺を爪でかくことも多いですので、このような巨大な患部ができることにもなるのでしょう。
この部位には体毛も多いですので、その毛根に菌が入り込み、重症化します。
ひざ周辺に巨大な感染部位を形成し、いつまでも治らない厄介で得体の知れなかったこの感染部位を、ようやく消滅させました。
この混合感染部位に比べれば、単なる水虫などはひよこ同然です(笑)。

大願成就(2)

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いつの間にか、師走になりました。
師走は何かと気忙しく、水虫どころではなくなります。
12月~1月は、当ブログも例年訪問者が少ないです。
 
2005年8月から書き始めた当ブログですが、5年を経過してようやく水虫を完治させる力を持った水虫薬(当道場処理液)を開発することができました。
私の水虫歴は約40年と長く、水虫が全身に広がっていましたので、それらを片っ端から消滅させながら処理を続けてきたのですが、ここへきてようやく新たに表面化する水虫病巣がなくなってきました。
今現在、私の身体に表面化している水虫はないのです!
体部に広範な水虫群があると、それらがかゆくてどうしても手指の爪でかいてしまうために、例年夏頃には手指の爪水虫が再発(再感染)するのですが、それらの爪水虫も今は消滅しています。
 
水虫は頑強ですので、時間がたてばまた水虫(発赤)が表面化してくる可能性は残っていますが、それらは表面化してきた時点で処理して、消滅させるだけのことです。
私の全身に散らばっていた水虫を完治させてきれいな皮膚を取り戻す、という大願が、やっと成就しました。
水虫はとんでもない強敵であり、こちらが的確に対応しない限りは完治に至らず、この水虫を完治させるために私は数多くの試行錯誤を経てきました。
私を水虫征服の正解へと導いてくれたこの強敵に、心からの敬意を表する次第です。
 
このブログでは、私自身の水虫を治すというテーマでその経過をご紹介してきたわけですが、その材料がついになくなってしまった、ということになります。
このブログを今後どのように展開するのか、という点については、しばらく考えてみたいと思いますが、まぁ、水虫患者は数多くおられますので、記事を書く材料には困らないでしょう(笑)。
というわけで、師走~新年にかけてしばらくの間、記事の更新を行いません。
このブログをご訪問いただいた、延べ18万人もの読者諸賢に、とりあえずお礼申します。

角質増殖型水虫の治し方

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水虫は治りにくいものですが、その中でも角質増殖型水虫はもっとも治りにくい(治らない?)ものです。
水虫菌は、皮膚や爪のケラチンという部分を溶かして栄養分とし、それを吸収して生きています。
ケラチンを壊された皮膚や爪は変性していますので、本来なら新陳代謝が進行して新しい組織に入れ替わるのですが、水虫菌がその新陳代謝を抑えますので変性した皮膚がそのまま残ります。
そして、病歴が長くなれば皮膚組織の変性が蓄積し、硬く変性した角質が形成されていきます。
 
硬く変性した皮膚は、水虫薬の浸透を妨げます。
硬化した皮膚の中や下にいる水虫菌は、硬い皮膚に守られて安穏に暮らしているわけです。
このため、角質増殖型水虫の治療は、場合によっては内服用抗真菌薬を使うことにもなるわけです。
素人療法として、硬化した皮膚を軽石でこすり取る人もいますが、これは皮膚を傷つけて硬化皮膚が広がり、水虫を助長するだけです。
 
Aさんは30年来の水虫であり、皮膚科で治療を受けているのですが、全く効果がありません。
そして、当道場処理液を使っていただくことになりました。
1か月ほどが経過し、Aさんから、「私の水虫は30年来治らないもので、この液も効果がない」、と連絡がありました。
そこで、Aさんにお願いして患部の写真を送ってもらいました。
 
イメージ 1
 
写真を拝見すると、趾間全体に角質増殖型皮膚が広がっていました。
足指の簡にまで角質増殖型皮膚が広がることがあるんですねぇ。
これでは皮膚科で治らないのも当然のことです。
親指の向かって左側では硬化皮膚がはがれつつあり、この水虫が治りつつあることがわかりましたので、Aさんに「治りつつありますよ」、と連絡しました。
 
しばらくすると、「足裏部分で水虫が悪化してきた」、と連絡がありました。
それでまた写真を送ってもらいました。
 
イメージ 2
 
この皮膚の状態を見て、Aさんは水虫が広がっていると思われたのですが、実際にはそうではありません。
足裏全体にもともと広がっていた角質増殖型皮膚が、処理の効果ではがれつつあるのです。
これはどういうことかといいますと、処理液が硬化皮膚の中へと浸透し、皮膚の中にいる水虫菌を殺します、そして皮膚が本来の新陳代謝能力を回復し、その結果皮膚の入れ替わりが起きつつあるのです。
はがれた皮膚の下からは、ピンク色の健康な皮膚が出てきていますね。
 
Aさんはその後も処理を続けて、30年来の水虫から解放されました。
それにしても、見事な角質増殖型の皮膚症例でしたね(笑)。

爪水虫を治しませんか!

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爪水虫を治したい方を募集しています。

条件:爪を処理する液を無料で提供します。
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   爪水虫完治まで、お付き合いします。

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ご注意:使えないメールアドレスでの申し込みは避けて下さい。

応募先:y20113jpjp@yahoo.co.jp
担当者:道場主
   

水虫道場・完結編

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このブログを始めたのは、2005年8月のことです。
もう10年も前になりますね、早いものです。
当時、私は水虫歴35年で、足裏の水虫が手の爪に入り、そこから全身に水虫が広がっていました。
その水虫を自己流で治してやろうと思って、いろいろな液を作って試していました。
当然のことですが、水虫を治せる薬剤が簡単にできるわけもなく、やればやるほど水虫が広がるという状況でしたね。

そんなときに、「ブログ」というものがあることを知り、Yahooブログを利用して水虫と取り組む状況を書くことにしました。
「水虫道場」を始めた頃は、10回も書けば書くネタがなくなるだろうな、と思っていました。
文章を書く、ということはとても難しくて、一つ記事を書くのにも時間がかかりましたが、この作業を行うことで私の頭の中が整理されて、思考が鋭敏になりました。
記事を書くことで、水虫治療の方向性を整理して考えられるようになったのです。
Yahooさんには感謝しないといけませんね(笑)。

そして今、私自身の水虫はほぼ消滅しています。
私の手元には、水虫治療に適した薬剤があります。
水虫という最強の敵を、ようやく倒すことができました。
水虫道場も、完結のときを迎えたわけです。

それで、水虫道場・完結編を書くことにしました。
次回から、様々な症例をご紹介しながら、水虫とはどういうものか解説します。
読者諸賢のご質問も歓迎します。




角質増殖型水虫の一症例

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長年足裏の角質増殖型水虫に悩まされてきたAさんの症例をご紹介します。
Aさんは20年来皮膚科で治療を受けてきたそうですが、「全く治らなかった」そうです。
処理前の写真を示します。

イメージ 1

ご覧のように、足裏全体に障害された皮膚が広がり、土踏まず部分には黒く変色した部分が散見されます。
実は、水虫の症状そのものはおとなしくて、ご本人が何もしなければこんなにひどい症状にはなりません。
Aさんは、水虫を治したいという気持ちが強いのでしょうか、患部の皮膚を手ではがしてしまう、と言う悪癖を持っています。
この癖が原因で、このようなひどい皮膚症状ができてしまったのです。

「患部の皮膚や爪を強制的にはがすことは厳禁です」
患部の皮膚を取れば水虫が良くなる、と思う人もいるのでしょうが、水虫菌(症状の原因となっている菌:カビ)は皮膚の中に住んでいます。
皮膚の表面にいるのではないのです。
ですから、はがれかけている皮膚の、その下に病原菌の本体が潜んでいます。
はがれかけている皮膚を手ではがしたとしても、水虫菌の本体には何の影響もないのです。
いくら皮膚をはがしても、水虫が治ることはあり得ません。
そして、それよりも遥かに悪い現象が起きてしまいます。
皮膚組織(皮膚、爪)はとても強靭にできています。
患部の皮膚をはがすと、周辺の健康な皮膚部分も一緒に裂けてしまいます。
皮膚に新たな傷ができてしまうわけですね。
そして新しい傷から体液がしみ出してきます。
この体液は、住み着いている水虫菌の格好のエサになります。
新鮮で豊富なえさを得た水虫菌は活性化して増殖し、患部を広げることができます。
水虫を治すつもりが、水虫を繁殖させる結果になるのです。
さらに、菌が手の爪に入って爪水虫になれば最悪ですね。

水虫菌はカビですので、一旦水虫になれば薬剤処理でカビを殺すことしか治す道はありません。
残念ながら、皮膚科や薬局にある今の水虫薬は症状を改善する効果はありますが、菌を殺してしまうだけの効力が十分ではありません。
動物や植物が死ぬと、そのまま地面に横たわります。
そしてその死骸をカビが食べて分解し、最終的には炭酸ガスや水として自然界に還流し,大自然の循環が形成されます。
水虫菌はそのカビの子孫であり、生物が生きている状態でも活動を始めている、気の早いカビなのです。
この強靭な相手に勝つことは、そう簡単ではないでしょう!


角質増殖型水虫の一症例(2)

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角質増殖型水虫の症例をご紹介しています。
処理前の写真を再掲します。

イメージ 1

写真でおわかりのように、この症例では水虫菌に侵蝕された皮膚が足裏全体を覆っています。
この人は、20年来、皮膚科で水虫薬をもらっていたのですが、全く効かなかった、ということです。
それで、足裏全体を処理液に浸す処理液浸漬法で1日1時間処理しました。
障害された皮膚は徐々に薄れて、3ヶ月後にはきれいな皮膚を回復しました。

3ヶ月後
イメージ 2

ところで、この症例の皮膚症状を引き起こした病原菌(病原性真菌)は何であったのでしょうか?
これを検討するために、処理前の患部の皮膚を一部採取し、培養を行って真菌(カビ)のコロニーを分離し、大学の真菌研究室で遺伝子解析を行ってもらいました。
確定した病原菌は、「アルテルナリア(Alternaria)」というカビで、植物に寄生する病原体として知られています。
なんと、植物に寄生するカビが人の足に住み着いていて、重度の皮膚障害を起こしていたのです。

水虫を起こす病原性真菌としては、白癬菌(皮膚糸状菌)あるいはカンジダ菌が知られています。
真菌は膨大な種類の菌種が含まれているのですが、人体に対して病原性を持つものはごく僅かしかありません。
今回分離されたアルテルナリアは、人に対する病原性はありません。
それでは、この患部からなぜ植物病原体であるアルテルナリアが検出されたのでしょうか?
実は、この患部では水虫を引き起こした病原体が別に存在していたのです。
そして、長い病歴を経過するうちに、もともとは人の病原体ではないアルテルナリアが感染してしまったのです。
このような感染様式を「日和見感染」といいます。
水虫は長い病歴を経ていますので、環境中にいっぱい存在している各種の真菌(カビ)が日和見感染して、勝手に住み着いています。
水虫薬は白癬菌やカンジダ菌には効くのですが、他のカビ全部に効くというわけではありませんので、このように雑多なカビが住み着いてしまうと、水虫薬が全く効かないことになってしまいます。
水虫は治りにくいことで有名ですが、その原因の一つがここでご紹介した雑多なカビによる日和見感染が起きていることなのです。

遺伝子解析を用いてカビの種類を同定する技術は、大学の真菌研究室でようやく行われるようになってきた段階です。
皮膚科では、患部の皮膚や爪を分解してカビの菌糸があるかどうかを顕微鏡で調べるだけです。
そして菌糸が見つかれば、「水虫だ」と診断します。
今回の症例でも、皮膚科で診てもらえば、水虫ですね、といわれるだけです。
水虫道場では、水虫患部のカビを遺伝子解析して菌種を同定する作業を数多く行っています。
水虫患部の病原菌を検討することに関しては、世界の最先端を走るトップランナーなのです。
水虫を治すためには、雑多なカビが日和見感染している症状を治す能力を持つ、新たな水虫薬が必要です。
今の水虫薬では、水虫を完治させることは不可能です。



角質増殖型水虫の一症例(3)

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角質増殖型水虫の一症例をご紹介しています。
処理前の症状を下の写真に示しますが、この皮膚症状の病原菌はアルテルナリア(植物病原体の一種)でした。

処理前
イメージ 1

この足を処理して障害された皮膚を取り除きました。
すると、一見してきれいな皮膚を回復しました。

回復
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ところが、指や趾間に分厚い皮膚が残ったままでしたので、さらに処理を継続しました。
すると、きれいに見えたはずの皮膚がどんどん変化して、足裏全体に分厚い病巣皮膚が露出してきました。
これがこの水虫の正体であったわけです。

水虫の正体
イメージ 3

この皮膚標本から病原菌を採取し、遺伝子解析を行ってカンジダ菌Candidaparapsilosisであることを確認しました。
この皮膚カンジダ症が原発の皮膚症状であり、そしてこの皮膚を手でいじって傷つけたことなどを介して、植物病原体であるアルテルナリア菌が日和見感染したのです。
皮膚カンジダ症の足裏の症例は、私は初めて見ましたし、貴重なものであろうと思います。
なお、人(ヒト)に対する病原性を有する真菌は僅かしかなく、代表的なものは次の7種類です。
 白癬菌(トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属)、カンジダ菌、マラセチア菌、 アスペルギルス菌、クリプトコックス菌。
本来の病巣であるカンジダ症が露出しましたので、処理液濃度を上げて処理することにしました。


角質増殖型水虫の一症例(4)

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前回の記事で、カンジダ菌による角質増殖型水虫が露出してきたことをご紹介しました。

皮膚カンジダ症
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写真でおわかりのように、この症例では足裏の皮膚全体が分厚い角質増殖型皮膚で覆われています。
この水虫を治すためには、処理液を根気よく塗って皮膚表層部にいる菌を殺し、その結果として菌が死んだ皮膚部分の新陳代謝能力を回復させ、新しい皮膚の新生を起こさせて病巣皮膚と入れ替えていく、という地道な作業を繰返すしかありません。
慢性化した水虫の病巣では、このように皮膚組織そのものが重度の損傷を受けていますので、この損傷した組織を再生させることが必要なのですが、このことがとてつもなく大変な作業になるのです。
それでも、この大変な作業をやり遂げないと、水虫を治すことができません。
頑張るのみですね。

この症例でも、処理液を塗る作業を行ってもらいましたが、ご本人が病巣皮膚を手ではがすという悪癖を持っており、次の写真のような状態になりました。

処理中の写真
イメージ 2

薄茶色の病巣皮膚をはがした様子が歴然としていますね。
病巣皮膚を手ではがすと、皮下から新鮮な皮膚が供給されますので、菌にとっては新鮮なエサが供給されることになり、菌が大繁殖するという結果になります。
このことをご本人に説明して、薬剤処理だけを行うように助言しました。
そして、少しマシな状態にまで皮膚が回復しました。

皮膚が改善
イメージ 3

このように皮膚が改善すると、ご本人は治ったと思うのでしょうか。
おそらくは油断して処理をやめてしまうのでしょう。
そしてまた、次の写真のように、振り出しに戻ってしまいました。

症状の露出
イメージ 4

写真でおわかりのように、障害された皮膚が再度表面化しており、皮膚をはがしたあとが歴然としています。
ご本人の習慣はとても根強いもので、簡単には直らないようです。



塗るだけで水虫が消える!
爪水虫を治しましょう!

爪水虫とは!

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爪水虫は、数十年前までは「不治の病」といわれていました。
そして今でも、爪水虫を治すためには内服薬療法を行うしか方法がない状況です。
この内服薬療法では、5%程度の肝機能障害などの副作用が発生し、また、内臓疾患がある人は内服薬療法を受けることができません。
しかし、爪水虫とはそんなにも治らないものなのでしょうか?
私の判断は、明快にNO!!です。
爪水虫は簡単に治すことができます。
ただし、爪水虫では爪が菌によって侵蝕されて死んでいますので、爪根元から新しい爪が伸びてきて入れ替わるのを半年~1年以上も待つしかない、という不可避な条件はあります。

それでは、爪水虫は治せる、ということをご紹介していきましょう。
最初に、爪組織の簡単な解説をします。
爪の組織
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①爪甲は、普通に「つめ」と呼んでいる部分であり、この部分が菌によって侵蝕されて白くなったりすることは皆さんご存知の通りです。
⑨爪床は爪甲の下にある部分で、血管や神経もあるそうですが、菌はこの部分も侵蝕します。
⑧爪母は、爪組織を製造する部分であり、ここにも菌が必要とする栄養が豊富にありますので、菌が好んで住み着く場所になります。
④爪根部はできたての爪の部分で、まだ柔らかいそうです。
⑩爪下皮は,図では爪の下の露出している皮膚部分を表示していますが、実際には爪床の部分にある程度は皮膚が入り込んでいるでしょう。

皮膚には皮膚バリア(角層バリア)が存在していて外部からの侵入物を遮っていますが、爪組織では硬い爪がありますので、これ以外のバリアはないようです。
つまり、皮膚ではバリアがあって水虫薬も通りにくくて、菌は皮膚バリアによって保護されています。
一方爪では爪以外のバリアはなく、そして爪水虫では爪がボロボロになって巨大な孔があいてバリアがない状態ですので、水虫薬は爪患部へと侵入して菌と直接接触することができます。
おわかりでしょうか、無数の孔があいている爪の中へ侵入する能力を持つ薬剤を作れば、爪の中の菌などは一撃で殺すことができるはずです。
今の水虫薬は単に爪への浸透性がないために効かないのであって、薬剤設計を改良すれば良いのです。
もちろん、薬剤成分そのものを変更する必要もあるでしょうが・・・。

少し前置きが長くなりました。
次回は、1回処理で爪水虫を治した症例をご紹介します。



塗るだけで水虫が消える!
爪水虫を治しましょう!

爪水虫とは!(2)

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前回の記事で、爪水虫の患部では爪に無数の孔があいているために、爪が持っているバリア機能がなくなっている、ということをご紹介しました。
爪患部では爪に無数の微小な孔があいており、その孔の中に菌がむき出しのままで横たわっているわけですから、爪組織への浸透性がある薬剤を使えば一撃で菌を殺せるはずです。

ご紹介する症例は、親指爪全体が爪水虫になっている例です。
処理前の爪の状態は、次の写真に示します。
処理前
イメージ 1

爪水虫の患部では周辺の皮膚にも水虫があることが多く、この場合にも爪周囲の皮膚に水虫があることがわかります。
爪水虫では爪患部の一番奥にまで菌が入っていますので、そこまで処理液を届けてやることが先ず必要です。
このため、市販の巻指サック(Lタイプ、100円ショップで購入)に処理液を入れて、それを親指全体にかぶせて、1日間浸漬処理を継続しました。
処理時間を長くしたのは、徹底的に菌を殺したい、という目的のためです。
処理直後の爪の状態は、次の写真に示します。
処理直後
イメージ 2

この症例では爪全体が菌に侵蝕されて無数の孔があいていましたので、そこへ液がしみ込んで爪全体がふやけた状態になっています。
爪周辺の皮膚も、液が浸透してふやけた状態になっています。
このあとも、数日に1回程度の頻度で浸漬処理を行いました。

最初の処理から半月が経過したあとの写真を次に示します。
半月後
イメージ 3

写真からおわかりのように、爪根元からピンク色の健康な爪が伸長してきおり、もとの侵蝕された爪が爪先へと押し出されていることがわかります。
つまり、最初の浸漬処理で爪根元(爪母)の菌が死滅し、爪の新陳代謝能力が回復されて新しい爪が伸びてきたのです。
手の爪は伸びるのが早く、僅か半月でこんなにも爪が伸びるんですね。
ここまでくれば、あとはこのまま処理を続けて爪全体が新生するのを待つだけです。

この症例でおわかりいただけるように、爪水虫の患部に寄生している菌を殺すことは決して難しくはない、ということです。
そして、爪根元にいる菌を殺してしまえば、一撃で爪水虫を治せる、ということです。
この症例では処理液浸漬法を使いましたが、塗布法で爪根元の菌を殺せるように工夫すれば、液を塗るだけで爪水虫を治すことが実現します。

爪水虫を治すことの大変さは、爪組織の新生にはとにかく時間がかかる、ということです。
この間、他からの菌の感染があればたちまち爪水虫が再発しますので、何らかの処理を続けることが必要です。
今回の症例でも、爪全体がなんとかきれいな状態にまで回復したのは7ヶ月もあとのことです。
回復した爪
イメージ 4

爪全体が菌に侵されていると、爪母にある爪製造組織の機能が回復するのにも時間がかかります。
爪水虫を治すのは、根気がいりますね。



塗るだけで水虫が消える!
爪水虫を治しましょう!

水虫の症例(Sさん)

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Sさんには、重度の爪水虫と角質増殖型水虫があります。
それらをご紹介します。
右足爪の状態を写真で示します。
右足爪の状態
イメージ 1

右親指爪は大きく損傷しており、爪全体が水虫になっています。
ほかの爪は、きれいな形を保っています。
このように爪が損傷しているのは、Sさん自身が何らかの方法で爪をはぎ取ってしまったからでしょう。
実はSさんには水虫患部の爪や皮膚をはぎ取る癖があり、このことが患部を悪化させているのですが。
このことについては後で解説します。

この親指爪に対して、処理液を1日2-4回噴霧・乾燥しました。
爪根元にいる菌を死滅~弱体化させることができれば、爪が新陳代謝能力を回復して根元から新しい爪が伸びてきます。
そして、それに伴って爪患部は爪先へと排出され、患部を爪先で切り取ってしまえば爪水虫完治になります。
処理1週間後の爪の写真を示します。
1週間後
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爪根元の状態をご覧いただくと、中央部根元の爪が伸びていることがわかります。
つまり、噴霧処理(外用)によって処理液が爪根元の最奥部にまで侵入し、菌を弱体化させて爪の新陳代謝能力が回復し、爪が根元から伸びてきた、ということになります。
爪全体が白っぽくなっていますが、これは爪表面にいた菌が死滅し、爪表面部の爪組織が死んでいることが確定したためにザラザラの死んだ爪が露出して、光を乱反射しているために白く見えるのです。
注、菌が生きている間は、死んだ爪組織が死んでいない状態に保たれています。
  これぞ菌の持っている超能力ですね!

処理1ヶ月後と、4ヶ月後の写真を示します。
1ヶ月後
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4ヶ月後
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爪は順調に根元から伸長しており、爪患部は爪先へと排出されつつあります。
とは言え、爪根元はまだまだ健康な爪にはなっておらず、爪が治るかどうかは不明な状況です。
この続きは次回にご紹介します。

ここで、冒頭に述べました、爪をみずからはぎ取って傷つけた、という行為について、述べます。
Sさんは、この親指爪をみずからはぎ取っていますね。
これは、爪に住み着いている水虫菌を何とか除去したいという一心で行った行為ではあります。
しかし、水虫菌はカビなのです。
患部の損傷している爪や皮膚をはぎ取っても、菌(カビ)を取り去ることはできません。
無駄な,無意味な行為なのです。
それどころか、患部の爪や皮膚をはぎ取る行為は、とんでもない結果を招きます。
読者諸賢にそのことをご理解いただきたいのです。

菌に侵蝕されているとは言え、患部の爪や皮膚は強靭にできています。
それらの爪や皮膚を指などで引きはがすと、患部だけではなくて、健康な部分の爪や皮膚までもがはがれます。
これが大問題なのです。
健康な爪や皮膚をはがすと、当然その部分が傷つきますので、血液や体液がその部分にしみ出してきます。
それらの体液は、菌にとっては絶好のエサになり、菌が大繁殖します。
つまり、菌を除去しようと思って行った行為が、実は菌を大繁殖させることになるのです。
さらに悪いことに、このように菌が大繁殖した状態の患部に対して、水虫薬を塗っても効果が薄れてしまって効かないのです。

カビが住み着いている水虫では、水虫薬を塗って治すしか方法がないのです。
自傷行為だけは、おやめください。
水虫がひどくなりますから!
水虫が治らなくなりますから!



塗るだけで水虫が消える!
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水虫の症例(Sさん)(2)爪水虫の症例を

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爪水虫の症例をご紹介しています。
処理開始前と、処理4ヶ月後の写真を再掲します。
処理前
イメージ 1

4ヶ月後
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処理前の爪は、全体が菌に侵蝕された重度の爪水虫でしたが、処理開始直後から爪根元より爪が伸長してきており、爪根元にいる菌が弱体化して爪の新陳代謝能力が回復しています。
そして4ヶ月後には爪患部が爪先へと押し出されて順調に回復していますが、それでも爪根元は障害された爪のままです。

その後も、薬剤濃度を高めるなどの工夫をしながら処理を続けました。
とにかく、爪根元から健康な爪が出てこないことには治りませんので、手探りで前へ進むしかありません。
7ヶ月後には爪根元から白い爪半月のようなものが見えてきました。
7ヶ月後
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しかしこの爪は、横から見ると分厚いままでした。
分厚い爪
イメージ 4

処理時間もかなり経過していましたので、やむを得ず就寝時の処理液浸漬法を使うことにしました。
この方法は、大きめの指サックに液を入れて指にかぶせて、そのまま就寝して朝まで継続するもので、最強の外用処理方法になります。
その後も処理を続けて、1年後には爪根元から健康な爪が出てくるまで回復しました・
1年後
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爪根元では健康な爪が出てきており、爪上部の侵蝕された部分からは段差が出来ていて薄くなっています。
爪根元の菌を弱体化させれば爪の新陳代謝能力が回復されて、健康な爪が伸びてくることをおわかりいただけたと思います。
この症例はここで処理を中止しましたので、ご紹介できるのはここまでです。
次回は、この症例のかかとの処理についてご紹介します。



塗るだけで水虫が消える!
爪水虫を治しましょう!

水虫の症例(Sさん)(3)かかとの水虫

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Sさんの足の爪には重度の爪水虫があり,それらの治療については前2回の記事で記載しました。
今回は、かかとの水虫(角質増殖型水虫)について、ご紹介します。
先ず、処理前の右足の状態を写真で示します。
処理前、右かかと
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写真でおわかりのように、Sさんは足の皮膚や爪を手ではがす、という悪癖を持っています。
水虫になっている皮膚部分を手ではがして、水虫を治そう、軽減しよう、という気持ちであることはわかるのですが、水虫菌はカビですので菌糸が分断されても死にはしません。
水虫を治したいという気持ちはわかるのですが、皮膚をはがしても何の役にも立ちません。
全く無駄な行為です。

それどころか、皮膚をはがすことによって菌が大繁殖し、水虫菌が繁茂した巨大な病巣が出来てしまうのです。
その経過を解説しましょう。
まず、皮膚をはがしことによって皮膚組織が傷つき、体液がしみ出してきます。
その体液に含まれている成分は菌の栄養となって、菌が大繁殖します。
そして、皮膚組織ははがされた部分を補うために新しい皮膚を新生して傷を埋めようとします。
その新しい皮膚は、これまた菌の絶好のエサになり、菌が住み着いていきます。
はがして出来た皮膚部分を修復するために補われた新しい皮膚部分全体が菌のエサとなり、すみかとなっていくのです。
おわかりですか?
皮膚をはがした部分全体が、巨大な水虫の層になるのです。

このようにして、かかとには巨大な病巣が出来ていますので、水虫薬を塗ってもそんなものは焼け石に水です。
巨大な患部が表面化してくるのを唖然としながら見るだけです。
巨大な患部
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この激烈な患部を見ると、あとは薬剤濃度を出来るだけ高めて、処理の効果をあげていくことしか方法がありません。
そして、何ヶ月もの処理を続けて、少し症状がマシになってきました。
少し改善
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マシになったとは言え、まだまだ皮膚には深い亀裂が出来ている状態です。
根気よく処理を続けて、皮膚表面の菌を殺し、そして菌が死んだ部分の皮膚がアカとしてはがれて、少しずつ病巣の皮膚をはぎ取っていきます。
水虫の患部では侵蝕されて死んだ皮膚組織が積み重なっていますので、それを少しずつ除去していき、新しい皮膚組織の新生を待つ、しかないのです。

そして、処理開始から1年ほどが経過して、少しマシな状態、何とか皮膚らしい状態にまで回復しました。
皮膚らしくなった
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Sさんは、皮膚や爪をはがす悪癖を持っています。
これは、いくら説明してもわからないようで、直りませんね。
水虫は皮膚表層だけに住み着くおとなしい感染症ですので、本人が健康なあいだは水虫があっても何の問題も生じません。
たいした問題ではありませんね。



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治りにくい爪水虫

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水虫の病歴が長くなってくると、水虫菌(白癬菌)以外のカビが患部に住み着く例も多発してきます。
このように白癬菌以外の菌が住み着いてしまうと、薬剤処理しても治らない~治りにくいことになってしまいます。
これは人間(患者)側からすれば全く迷惑な話なのですが、カビの世界の生存競争の結果起きる現象ですので、どうしようもありません。

そのような例として、手指の爪水虫をご紹介します。
処理前の写真
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写真を見ると、爪の先端部分が水虫になっていることがわかりますね。
この程度の水虫であれば、わりと簡単に治る、はずです。
ところが、この症例では、処理しても治らないのです!
処理1ヶ月後の写真を示します。
1ヶ月後
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ご覧のように、処理前とほとんど変わりません。
こんなはずは無いのですが・・・
実は、この爪からは、アスペルギルス菌(A. niger、クロコウジカビ)が検出されました。
この菌が住み着いてしまうと、とにかく治らないですね。
やむを得ず、処理条件をきつくしました(薬剤濃度を高めて1時間の浸漬処理法を適用)。

2ヶ月後、爪は少し良くなったように見えるのですが、治っているわけではありません。
爪先から下方へと伸びる白い筋が散見されます。
2ヶ月後
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やむを得ず、処理時間を長くして、就寝時の浸漬処理を行いました。
そしてさらに3ヶ月後、爪先は正常な形には戻らず、爪と皮膚の接触線が異常なままです。
3ヶ月後(合計5ヶ月後)
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それで薬剤濃度を2倍にして、患部に塗布することにしました。
すると、爪先の形状は改善されてきて、効いているようです。
1ヶ月後(合計6ヶ月後)
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これほどまでに治りにくい爪水虫は経験していませんでしたので、爪標本を採取してアスペルギルス菌が残っているのかどうか、培養して確かめました。
結果としては、爪標本からカビは生えてきませんでした。
一応、これで完治した、という判定になりました。
ただ、爪の形状が悪くて、何となく気になりますが・・・。



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水虫が治らない理由

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水虫は、なかなか治りにくいものです。
皮膚の角層(角質層)という、皮膚の一番外側のごく薄い層に水虫菌(カビ)は寄生しています。
そんなものは、殺菌剤を塗れば一撃で殺せるのではないか、と誰しも思いますよね。
ところが、これが殺せないのです。
その理由は,一体どこにあるのでしょうか。
皮膚角層
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水虫菌(カビ)は、皮膚の角層に寄生しています。
彼らは、そこで生きていて、生活しているのです。
そこでは、成熟した菌糸が生きており、皮膚から栄養を取りながら、子孫を産生して世代を継いでいきます。
ですから、皮膚角層には、成熟した菌糸と子供(タネ、胞子)がいるのです。
実は、成熟した菌糸はわりと簡単に殺すことができます。
例えば、アルコール消毒(エタノール)などで簡単に殺すことができます。
ところが、タネは堅い殻で覆われていて、薬剤処理に対して抵抗力を持っています。
このタネは、塩素殺菌などで殺すことができるのですが、何分にも皮膚の下に住み着いているタネを塩素処理するということはできません、皮膚が破壊されてしまいます。
皮膚の下にいるタネを殺す手段(方法、薬剤)がない、ということが、水虫を治せない最大の理由なのです。

「水虫を治すためには、皮膚症状がなくなっても水虫薬を塗り続けることが大切です」、といわれます。
このことを上の説明と関連づけて解説しましょう。
水虫薬を水虫患部に塗ると、成熟した菌糸は殺すことができます。
そして、菌が死んで、皮膚が回復してきて、皮膚症状がなくなりますね。
このとき、皮膚の下では、成熟した菌糸はいないのですが、タネは無傷で生き残っています。
やがて、このタネが発芽してきて、成熟した菌糸になり、皮膚症状が再発してきます。
この場合に、ずっと水虫薬を塗り続けていれば、タネが成熟した菌糸になった瞬間を捉えて、これを殺すことができるわけです。
この目的のために、水虫薬を塗り続けて下さい、と説明しているのです。

しかし現実には、水虫患部はとても広大であり、水虫薬は相当に高価なので、いつまでも水虫薬を塗ることもできませんね。
また、今の水虫薬は皮膚への透過性も悪くて、なかなか水虫を治すことは難しいです。

水虫菌のタネを写真でご紹介しようと思ったのですが、なかなか適当な画像が見つかりません。
それで、「水虫菌アニメ」をご紹介します。
水虫とはどういうものか、を解説しており、タネの写真も載っていますので,ご覧ください。

以上の解説から、水虫を治すための薬剤として必要な機能が何であるのか、おわかりでしょう。
水虫を効果的に治すためには、タネを発芽させる機能を持った水虫薬を作ることが必要不可欠です。
タネを発芽させて、成熟した菌糸に変えてから殺せば良いわけです。
このような薬剤が開発されたとき、水虫(皮膚真菌症)は治すことができる疾患になるでしょう。



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水虫が治らない理由(2)

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前回の記事で、水虫が治らない理由として、水虫菌のタネ(胞子)を殺す手段がないためにタネが生き残り、やがてタネが発芽して水虫が再発するからである、ということをご紹介しました。
皮膚下にいるタネを殺す方法を開発しない限り、水虫を完治させることは不可能だといってもよいでしょう。
実は、もう一つの水虫が治らない理由があります。
このことをご紹介する前に、少し基礎知識を解説します。

水虫は、皮膚糸状菌(白癬菌)という種類の真菌(カビ)が皮膚の角層に住み着いていることで発生する皮膚症状を指します。
皮膚糸状菌には、トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属の3種類が含まれており、これらのうちのトリコフィトン・ルブルム菌とトリコフィトン.メンタグルフィテス菌が主要な水虫病原菌です(皮膚科で診断される水虫の89%を占めます)。
その他には、カンジダ菌によるもの(8%)とマラセチア菌によるもの(2%)があります。
疫学調査の結果から判明している水虫の病原菌は、以上の僅か数種類の菌だけになります。

真菌とは:真菌(カビ)には膨大な種類の菌が含まれており、動物や植物と並び称される巨大な生物群です。
真菌の分類
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                カビ:ここでは糸状菌を指す

そして、真菌のほとんど大部分のものは、ヒトに対する病原性を持たないのです(つまり、病原菌ではない、と定義されています)。
ところが、私自身の体部にできている体部水虫から寄生している菌を分離し、大学の研究室で遺伝子解析を行った結果、下記のような多種多様な真菌が寄生していることが判明しました。
 担子菌(キノコ)、酵母、植物病原菌、アスペルギルス菌、など
このように、病原性がないとされている真菌でも、トリコフィトン・ルブルムなどの病原菌が住み着いている部分へ感染することができるのです。
このような感染様式を日和見感染といいます。
水虫のように外部と接触している疾患では、多種多様なカビが患部へ侵入してきますので、日和見感染を起こしやすいと考えられます。
今の水虫薬は、皮膚糸状菌の細胞壁を生合成する酵素を阻害して菌を殺しますので、多様な真菌が寄生していると効果が失われます。
つまり、多様な真菌を殺す能力を持った薬剤でないと、水虫を治すことは難しい、ということになります。

水虫が治らない理由をまとめますと、
1、皮下の患部に存在するタネ(胞子)を殺すことができないこと
2、日和見感染した雑多な真菌を殺す薬剤がないこと
の2つになります。

なお、上で述べた遺伝子解析による菌種同定技術は、最近になってようやく大学の真菌研究室で行えるようになってきた段階であり、今回ご紹介した多様なカビによる日和見感染が水虫患部で起きていることはまだ一般には知られていません。



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治らなかった爪水虫

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爪水虫を治すのは、大変な難事業です。
爪水虫を治すためには、
1、爪患部の一番奥にいる菌を殺す~弱体化させる
2、その結果として、菌によって抑制されていた新陳代謝能力を爪が回復する
3、そして爪が根元から新しく伸びてくる
4、足の爪の場合、爪全体が新しく入れ替わるまでには1年以上もかかる
5、爪を再生する組織自体も機能回復には時間がかかり、きれいな爪になるまでには相当な期間が必要
などの条件が必須です。
このため、爪を治そうと思っても、途中で息切れする人も多いのです。

Aさんは、重度の爪水虫と角質増殖型水虫とがありました。
当初は、右足親指爪を治したい、ということでした。
右親指爪(処理前)
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ご覧のように、爪全体が重度の水虫になっていましたので、1時間の処理液浸漬法を行いました。
すると、爪根元から徐々に新しい爪が伸びてきて、半年後には黒い爪部分が少なくなりました。
処理半年後
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このように爪は改善してきたのですが、一つ問題が残っていました。
それは、爪根元部分の爪と皮膚との接触部分が離れてしまっていて、爪上皮がない(回復していない)ということです。
この現象は、爪根元にはまだ菌が生き残っていて、爪組織の回復を妨げている、ということを示しています。
つまり、新しい爪が順調に回復しているように見えるのですが、正常な新陳代謝能力を回復しているわけではない、ということですね。
それで、処理液濃度を高めました。
そして、10ヶ月後には爪上皮も正常化してきました。
処理10ヶ月後
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爪根元部分には健康な爪が伸びつつあり、これで治ったな、と私も思いました。
そして、13ヶ月後には次の写真のようになりました。
処理13ヶ月後
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実は、この症例を見ていた際に、私自身は気がつかなかったのです。
爪上皮部分を見て下さい。
爪上皮がなくなっていますね。
つまり、Aさんは爪が治ったと思って、処理をやめてしまっていた、のです。
そして、菌が復活して、再度爪上皮が侵蝕された、ということですね。
あるいは、他の患部から菌が移ったのかも知れません。
実は、Aさんには他の爪やかかとにも重度の水虫があり、それらの処理も行っていました。
そして、この親指爪については処理されないままになってしまいました。

爪水虫を治すためには、長期の処理が必要です。
この間、集中して処理を継続することは、決して容易ではないことです。
もちろん、この症例でも処理前と比較すれば爪は大きく改善していてご本人は満足していたのですが、完治には届きませんでした。



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記事の休載のお知らせ

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季節も移ろい、いつの間にか朝晩が涼しくなってきました。
そして、水虫の季節も過ぎつつあり、当ブログへの訪問者数も少なくなってきました。
それで、当面の間、記事を休載することにしました。
来春に再開する予定です。

道場主啓白



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