水虫は治りにくいものですが、その中でも角質増殖型水虫はもっとも治りにくい(治らない?)ものです。
水虫菌は、皮膚や爪のケラチンという部分を溶かして栄養分とし、それを吸収して生きています。
ケラチンを壊された皮膚や爪は変性していますので、本来なら新陳代謝が進行して新しい組織に入れ替わるのですが、水虫菌がその新陳代謝を抑えますので変性した皮膚がそのまま残ります。
そして、病歴が長くなれば皮膚組織の変性が蓄積し、硬く変性した角質が形成されていきます。
硬く変性した皮膚は、水虫薬の浸透を妨げます。
硬化した皮膚の中や下にいる水虫菌は、硬い皮膚に守られて安穏に暮らしているわけです。
このため、角質増殖型水虫の治療は、場合によっては内服用抗真菌薬を使うことにもなるわけです。
素人療法として、硬化した皮膚を軽石でこすり取る人もいますが、これは皮膚を傷つけて硬化皮膚が広がり、水虫を助長するだけです。
Aさんは30年来の水虫であり、皮膚科で治療を受けているのですが、全く効果がありません。
そして、当道場処理液を使っていただくことになりました。
1か月ほどが経過し、Aさんから、「私の水虫は30年来治らないもので、この液も効果がない」、と連絡がありました。
そこで、Aさんにお願いして患部の写真を送ってもらいました。
写真を拝見すると、趾間全体に角質増殖型皮膚が広がっていました。
足指の簡にまで角質増殖型皮膚が広がることがあるんですねぇ。
これでは皮膚科で治らないのも当然のことです。
親指の向かって左側では硬化皮膚がはがれつつあり、この水虫が治りつつあることがわかりましたので、Aさんに「治りつつありますよ」、と連絡しました。
しばらくすると、「足裏部分で水虫が悪化してきた」、と連絡がありました。
それでまた写真を送ってもらいました。
この皮膚の状態を見て、Aさんは水虫が広がっていると思われたのですが、実際にはそうではありません。
足裏全体にもともと広がっていた角質増殖型皮膚が、処理の効果ではがれつつあるのです。
これはどういうことかといいますと、処理液が硬化皮膚の中へと浸透し、皮膚の中にいる水虫菌を殺します、そして皮膚が本来の新陳代謝能力を回復し、その結果皮膚の入れ替わりが起きつつあるのです。
はがれた皮膚の下からは、ピンク色の健康な皮膚が出てきていますね。
Aさんはその後も処理を続けて、30年来の水虫から解放されました。
それにしても、見事な角質増殖型の皮膚症例でしたね(笑)。