梅雨に入り、水虫の最盛期になりました。
水虫に悩む方にとっては、最悪の時節到来です。
水虫とは、皮膚の一番外側の皮膚細胞が死んでいる部分(角層、角質層)にカビ(真菌)が寄生している皮膚感染症の一種です。
水虫はなかなか治りませんが、それはこの皮膚最外層にいるカビを殺すことが難しい、ということを示しているわけで、ちょっと信じにくい話ですね。
カビが皮膚に寄生すると、このカビは自然死はしません。
つまり水虫は、水虫薬を使って皮膚に寄生しているカビを殺すしか治す方法がないのです。
皮膚に寄生しているカビは、そこで彼らなりに生活しているわけです。
皮膚の成分を分解して栄養分として吸収し、子供(タネ、胞子)を作って世代を継いでいきます。
ですから、皮膚の下には成熟した菌糸と胞子とがいるのです。
今の水虫薬は、成熟した菌糸の細胞壁を作れないようにする作用を持っていて、水虫菌を殺します。
つまり、成熟した菌糸を作れないようにする働きしか持っていません。
皮膚の下の水虫患部では、タネ(胞子)がいます。
このタネは分厚い殻に覆われていて、とても頑丈にできており、簡単に殺すことはできません。
柿の種は堅い殻に覆われていますね、これと同じです。
例えば食料品を保管しておくとカビが生えますが、この際にカビのタネを殺すためには塩素殺菌が使われます。
しかし塩素を人の皮膚に塗ることはできませんね、皮膚が死んでしまいます。
つまり、皮膚の下にいるタネを薬剤で殺すことはできません。
今の水虫薬は成熟した菌糸を作らせないだけですので、タネ(胞子)には全く作用せず、タネが発芽して菌糸になればそのまま水虫が再発してしまいます。
我々ができることは、水虫薬を長期間塗り続けて、タネが発芽して菌糸になろうとする瞬間を捉えて、菌糸を殺すしかないのです。
今の水虫薬が効かないのも当然のことですね。
以上にご説明したことが、水虫が治りにくいことの最大の原因です。
水虫を治せる水虫薬とは、何らかの機序でタネを消失させる機能を持っていないと話になりません。
この問題を解決するのは、相当に難しいでしょう!
その他にも、水虫を治しにくい理由はいくつかあります。
実は、カビ(真菌)は一般に病原性が弱く、人に対する病原菌にはなりにくいのです。
水虫菌(白癬菌、皮膚糸状菌)は病原性があり、人の水虫を作りますが、病歴が長くなるといつの間にか他のカビ(病原性がないもの)に置き換わってしまいます。
これを日和見感染などと表現します。
他のカビとは、キノコ菌など多くのものがあり、当然のことですが、水虫薬は全く効果がありません。
このことも、水虫を治しにくい大きな要因になっています。
水虫は、感染初期に治さないと、大変です!