長年足裏の角質増殖型水虫に悩まされてきたAさんの症例をご紹介します。
Aさんは20年来皮膚科で治療を受けてきたそうですが、「全く治らなかった」そうです。
処理前の写真を示します。
ご覧のように、足裏全体に障害された皮膚が広がり、土踏まず部分には黒く変色した部分が散見されます。
実は、水虫の症状そのものはおとなしくて、ご本人が何もしなければこんなにひどい症状にはなりません。
Aさんは、水虫を治したいという気持ちが強いのでしょうか、患部の皮膚を手ではがしてしまう、と言う悪癖を持っています。
この癖が原因で、このようなひどい皮膚症状ができてしまったのです。
「患部の皮膚や爪を強制的にはがすことは厳禁です」
患部の皮膚を取れば水虫が良くなる、と思う人もいるのでしょうが、水虫菌(症状の原因となっている菌:カビ)は皮膚の中に住んでいます。
皮膚の表面にいるのではないのです。
ですから、はがれかけている皮膚の、その下に病原菌の本体が潜んでいます。
はがれかけている皮膚を手ではがしたとしても、水虫菌の本体には何の影響もないのです。
いくら皮膚をはがしても、水虫が治ることはあり得ません。
そして、それよりも遥かに悪い現象が起きてしまいます。
皮膚組織(皮膚、爪)はとても強靭にできています。
患部の皮膚をはがすと、周辺の健康な皮膚部分も一緒に裂けてしまいます。
皮膚に新たな傷ができてしまうわけですね。
そして新しい傷から体液がしみ出してきます。
この体液は、住み着いている水虫菌の格好のエサになります。
新鮮で豊富なえさを得た水虫菌は活性化して増殖し、患部を広げることができます。
水虫を治すつもりが、水虫を繁殖させる結果になるのです。
さらに、菌が手の爪に入って爪水虫になれば最悪ですね。
水虫菌はカビですので、一旦水虫になれば薬剤処理でカビを殺すことしか治す道はありません。
残念ながら、皮膚科や薬局にある今の水虫薬は症状を改善する効果はありますが、菌を殺してしまうだけの効力が十分ではありません。
動物や植物が死ぬと、そのまま地面に横たわります。
そしてその死骸をカビが食べて分解し、最終的には炭酸ガスや水として自然界に還流し,大自然の循環が形成されます。
水虫菌はそのカビの子孫であり、生物が生きている状態でも活動を始めている、気の早いカビなのです。
この強靭な相手に勝つことは、そう簡単ではないでしょう!