皮膚科で使われている内服用抗真菌剤の代表選手は、ラミシール(学名、塩酸テルビナフィン)です。
ラミシール(テルビナフィン)
テルビナフィンはノバルティス社によって1990年に開発されました。
その化学構造式は次の通りです。
この化合物の特徴は、ラミシール錠を内服することにより爪水虫を治療できることにあります。
ただし、この錠剤は外用抗真菌剤によって治療困難な真菌症に限って使用できます。
そして錠剤投与前と投与中には、肝機能検査や血液検査が必要です。
これは、この錠剤を使用中に肝障害や血液障害によって死亡した例があったからです。
このように強い副作用と死亡例があったにも関わらずこの薬剤が使用されるのは、爪水虫という不治の病を治したいという需要があったからでしょう。
ラミシール125mg錠
テルビナフィン塩酸塩は真菌細胞内のスクワレンエポキシだーぜを選択的に阻害し、スクワレンの蓄積およびエルゴステロールの低下をもたらし、抗真菌作用を示すとされています。
現在、内服用抗真菌剤を用いた場合の爪水虫に対する完治率は、38%であるとされています。
爪水虫の患部では、爪組織が膨大に侵食されて組織障害が積み重なっており、そこに菌が住み着いているわけです。
薬剤の効果で少しずつ菌を殺して、その部分の組織を再生させて、・・・という作業を根気よく繰り返して、少しずつ爪組織を正常化させていくしか方法がないのです。
爪水虫を治すこととは、1年以上にも及ぶとんでもない一大事業であると認識することが必要です。
中途半端な気持ちで「爪を治そう」と思ったとしたら、失敗するだけですね。