水虫の病歴が長くなってくると、水虫菌(白癬菌)以外のカビが患部に住み着く例も多発してきます。
このように白癬菌以外の菌が住み着いてしまうと、薬剤処理しても治らない~治りにくいことになってしまいます。
これは人間(患者)側からすれば全く迷惑な話なのですが、カビの世界の生存競争の結果起きる現象ですので、どうしようもありません。
そのような例として、手指の爪水虫をご紹介します。
処理前の写真
写真を見ると、爪の先端部分が水虫になっていることがわかりますね。
この程度の水虫であれば、わりと簡単に治る、はずです。
ところが、この症例では、処理しても治らないのです!
処理1ヶ月後の写真を示します。
1ヶ月後
ご覧のように、処理前とほとんど変わりません。
こんなはずは無いのですが・・・
実は、この爪からは、アスペルギルス菌(A. niger、クロコウジカビ)が検出されました。
この菌が住み着いてしまうと、とにかく治らないですね。
やむを得ず、処理条件をきつくしました(薬剤濃度を高めて1時間の浸漬処理法を適用)。
2ヶ月後、爪は少し良くなったように見えるのですが、治っているわけではありません。
爪先から下方へと伸びる白い筋が散見されます。
2ヶ月後
やむを得ず、処理時間を長くして、就寝時の浸漬処理を行いました。
そしてさらに3ヶ月後、爪先は正常な形には戻らず、爪と皮膚の接触線が異常なままです。
3ヶ月後(合計5ヶ月後)
それで薬剤濃度を2倍にして、患部に塗布することにしました。
すると、爪先の形状は改善されてきて、効いているようです。
1ヶ月後(合計6ヶ月後)
これほどまでに治りにくい爪水虫は経験していませんでしたので、爪標本を採取してアスペルギルス菌が残っているのかどうか、培養して確かめました。
結果としては、爪標本からカビは生えてきませんでした。
一応、これで完治した、という判定になりました。
ただ、爪の形状が悪くて、何となく気になりますが・・・。
塗るだけで水虫が消える!
爪水虫を治しましょう!