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Channel: 水虫道場
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水虫が治らない理由(2)

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前回の記事で、水虫が治らない理由として、水虫菌のタネ(胞子)を殺す手段がないためにタネが生き残り、やがてタネが発芽して水虫が再発するからである、ということをご紹介しました。
皮膚下にいるタネを殺す方法を開発しない限り、水虫を完治させることは不可能だといってもよいでしょう。
実は、もう一つの水虫が治らない理由があります。
このことをご紹介する前に、少し基礎知識を解説します。

水虫は、皮膚糸状菌(白癬菌)という種類の真菌(カビ)が皮膚の角層に住み着いていることで発生する皮膚症状を指します。
皮膚糸状菌には、トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属の3種類が含まれており、これらのうちのトリコフィトン・ルブルム菌とトリコフィトン.メンタグルフィテス菌が主要な水虫病原菌です(皮膚科で診断される水虫の89%を占めます)。
その他には、カンジダ菌によるもの(8%)とマラセチア菌によるもの(2%)があります。
疫学調査の結果から判明している水虫の病原菌は、以上の僅か数種類の菌だけになります。

真菌とは:真菌(カビ)には膨大な種類の菌が含まれており、動物や植物と並び称される巨大な生物群です。
真菌の分類
イメージ 1

                カビ:ここでは糸状菌を指す

そして、真菌のほとんど大部分のものは、ヒトに対する病原性を持たないのです(つまり、病原菌ではない、と定義されています)。
ところが、私自身の体部にできている体部水虫から寄生している菌を分離し、大学の研究室で遺伝子解析を行った結果、下記のような多種多様な真菌が寄生していることが判明しました。
 担子菌(キノコ)、酵母、植物病原菌、アスペルギルス菌、など
このように、病原性がないとされている真菌でも、トリコフィトン・ルブルムなどの病原菌が住み着いている部分へ感染することができるのです。
このような感染様式を日和見感染といいます。
水虫のように外部と接触している疾患では、多種多様なカビが患部へ侵入してきますので、日和見感染を起こしやすいと考えられます。
今の水虫薬は、皮膚糸状菌の細胞壁を生合成する酵素を阻害して菌を殺しますので、多様な真菌が寄生していると効果が失われます。
つまり、多様な真菌を殺す能力を持った薬剤でないと、水虫を治すことは難しい、ということになります。

水虫が治らない理由をまとめますと、
1、皮下の患部に存在するタネ(胞子)を殺すことができないこと
2、日和見感染した雑多な真菌を殺す薬剤がないこと
の2つになります。

なお、上で述べた遺伝子解析による菌種同定技術は、最近になってようやく大学の真菌研究室で行えるようになってきた段階であり、今回ご紹介した多様なカビによる日和見感染が水虫患部で起きていることはまだ一般には知られていません。



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