酢酸は優秀な抗カビ剤であると言われています。
酢酸は水溶液中で酸性を示す水素イオンを解離し、この酸性の水素イオンがカビを殺します。
実際の人の皮膚では、カビが皮膚の細胞壁を構成しているケラチン(タンパク質の一種)を溶解して皮膚角層内へと侵入しています。
この際にケラチンが破壊されて皮膚バリアが壊れており、このバリアの壊れた隙間から酢酸が角層内へと流入して、そこにいるカビを殺す、という図式になります。
角層バリアが壊れた状態の模式図を次に示します。
このように水虫の部位だけの皮膚バリアが壊れており、その隙間から薬剤が入って行くことになります。
そして、カビが寄生していない正常な皮膚部位では薬剤は入りにくいと考えられますね。
ところで、酸がカビを殺す例としてはどのような物があるでしょうか。
日本の各地には温泉があり、お湯が酸性を示す場合には水虫を治す効果があります。
この場合にはお湯は薄い硫酸を含んでおり、バリアの隙間からお湯が角層内へと流れ込んでカビを殺します。
お湯に1日入ったとすると、硫酸が親のカビを殺すでしょうが、カビの子供(タネ、胞子)は死にませんので、後日胞子が芽を出して親(菌糸)になれば水虫が復活します。
それでは、どうすれば水虫を完治できるのでしょうか?
例えば数ヶ月間お湯に入れば、タネが芽を出した時もお湯に入ることになり、タネ由来の菌糸をを殺すことができます。
ここまで行けば水虫完治ということになりますね。
これは酢酸を使った場合も同様です。
酢酸液を数ヶ月間使い続ければ、言い換えればタネが芽を出すまで使い続ければ水虫は治る、ということになります。
面倒なことですが、これしか水虫を治すことができません。
水虫を治すこととは、水虫菌のタネを消滅させることなのです!